お誕生日おめでとうございます、土方さん!!!
何とか間に合った!!
うちでお誕生日小説って初めてじゃなかろか??
というわけで以下に、お誕生日小話です。
現代パラレル、銀→土で高→土という欲張り具合(笑)
May 5,2011(Thurs.)
「でも何で今日なんだ?」
土方が軽く指で持ち上げた銀のスプーンに
シーリングファンの回転が映っている。
それを目を細めて見た高杉は少し柔らかい声を出す。
「ナンだ、不満か?」
「いや、そういうわけじゃねェけどさ。いつもは結構唐突に言うだろお前ら」
土方は軽く首を振った。
「今日に限ってずいぶん前もって約束してたからさ」
あ、というように土方が口を開く。
「銀時なんて、一昨日も逢ったのに」
「一昨日?」
低く、物騒な響きで高杉が唸った。
「あ、あー偶然だよ、偶然。ほら、俺らよく逢うじゃん?」
慌てて言い訳じみた声を出した銀時を高杉が睨みつけた。
「……今日が御破算になったらどう責任取るつもりだったんだてめぇ」
「うわ、やだやだ晋ちゃん怖い」
「殺すぞ」
不思議そうに土方は二人のやり取りを見ていたが、
高杉のジンが無くなりそうなのに気づいて立ち上がった。
「銀時は?」
「あー俺はイチゴ牛乳ね」
「冗談だろ」
カウンターに近づくと心得たマスターが素早く高杉の分のカクテルを作り出
す。
「土方さんはコーヒーのお代わりは?」
「もらうよ、っていうか…
コーヒーとジントニックってなんか妙な取り合わせだよな」
カウンター越しにマスターが笑った。
「うちじゃ何でもありなんですよ」
「香りを殺すのに?」
「お客の心が広いんですよ」
「はは、かもな。まぁイチゴ牛乳が出る時点で、マスターの度量も相当だと
思うけど」
とりあえず二人の飲み物を持って土方が座る。
ありがと愛してる、とふざけた銀時と、
目で礼を言った高杉が同時に押し黙ったので土方はまた首を傾げた。
「そろそろ、結論を出そうかと思ってよ」
唐突に高杉が言う。
「なんの?この間銀時も悩んでたけど、ほら、
今付き合ってる女達のこととか?」
土方は時々、子どものように邪気無く振舞う。
「いや、」
珍しく言いよどんだ高杉に土方はふうん、と息を吐くと首を傾げた。
はは、と何故かぎこちなく笑うと立ち上がった銀時が、
カウンター越しに何やらマスターに話しかけている。
高杉が苦笑して土方の眉間を指でそっと押した。
「おい、難しい顔してっぞ」
「お前が女で悩むのって意外だなと思って」
「……女じゃねェさ」
へぇ、とまた意外そうに土方が続けようとしたが。
「はい、土方、ウインナコーヒー」
運ばれてきたコーヒーに土方は驚いて銀時を見上げた。
「生クリーム?」
「銀さん特製だよん」
甘いのは、と思ったがせっかく用意してくれたのだから、
と思い直したのだろう、
土方が、あう、ん、と不自然に頷く。
銀時が優しく言う。
「土方はさ、こうしてるの好き?」
ぱちっと土方の澄んだ色の目が瞬く。
「こうって?」
「俺らと居るの」
「そりゃ、楽しいぜ、気楽だし」
あっさりと土方が告げると男二人がほぼ同じ表情をした。
あ、そう、と。
「気楽か」
「気楽ねェ」
何かマズイことを言っただろうか?と土方は思ったが
コーヒーの良い香りに包まれて何となく、
まぁ、いいか、と思うことにした。
良い豆を使っているだけあって香りがいい。
二人がよくわからないのはもう仕方の無いことだと思ってあきらめている。
くゆらせた煙草の先を追っていた高杉が、
とりとめの無い会話の最中に思い出したようにトン、と
煙草を置いた。
「ああ、そうだ……やる」
スーツのポケットから高杉が紙切れを出した。
「…え」
「探してたろ」
「あ……うん、でも良いのか」
「ソッチに知り合いがいるって言ったろ。気にすんな。
つーか本当に一枚で良いのか」
映画の試写会、
といっても高杉には何が良いのかまったく分からない、アニメーション、
というジャンルの代物。
大方、子供用にクライアントにでも頼まれているのだろうと高杉は
思った。
じっと見つめる土方の目がやけに輝いているのが意外だったが。
「ありがとな、二人とも」
ふっと土方が笑うと二人が少し、困ったように笑い返した。
チケットを探している、というのは銀時にしか話していなかったはずだ、
と土方は覚えていたから。
「探したのは俺だぜ」
「おいおい、下僕に探させただけだろ」
「人聞きの悪い」
ふふ、と笑うと土方は銀時の作ったコーヒーを飲み干した。
May 5,2011(Thurs.)
Just wanna be Close to you !
(あなたのそばにいたいだけ)
[11回]
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