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第3弾、これだけあからさまに銀土(笑)


 

「甘いもんが食いたい」
時計の針はとっくに次の「朝」に向かっていた。
上着はソファにとうに放り投げ、タイを外して靴まで床に落としてくつろいでいた銀時に対して
土方は室内でも上着を脱いだだけで綺麗に糊の利いたシャツとベスト姿。
人を殺すだけがマフィアじゃない、シルバーフレームのメガネをかけた土方は、
株式相場の動向を示す手元の資料から目を離さず言う。
さっきから銀時を構ってくれないのだ。
「こんな時間にシェフを呼びつけるのは可哀相だろ」
メガネも似合うなぁ、
とか思いながら銀時は頬杖をついたまま。
「ジミーに作らせりゃいいじゃん」
彼の狗の名前を口にする。
「今日は出かけてる」
メガネを外して土方は身軽に立ち上がった。
滞在中のホテルの豪奢な扉の奥に、猫のように消えるすらりとした背を目で追った銀時は欠伸をした。

それから靴を履くと気配を待って立ち上がり、
外側で土方が手をかける前にドアを開けてやる。
「どうぞ」
女が喜ぶ仕草にも、顔色を変えずに土方はツンとしたままだったが、
銀時は勿論構わない。
片手に銀のトレーを携えた土方はソファの前のガラステーブルに静かにブラッドオレンジのサンドイッチと
氷の入ったワインクーラーに入れられた、甘いバニラアイスクリームを置く。
子どものような取り合わせだなと銀時は内心で笑った。
どかっと座った土方は銀時がサーバーから注いでおいたブラックコーヒーを飲んでいる。

そのすました顔を見ていると、
どうしてこう、ねぇ。
銀はサンドイッチをたいらげると、氷の中で自分を待っていたドルチェの器を手に取る。
ひやりと冷たいそれはまるで目の前の男のよう。
でもその中身が蕩けるように甘いことは味わい済み。
「土方」
呼べば律儀に土方は顔を寄せる。

バニラアイスクリームをスプーンで掬って口に入れて。
タイを引いて素早く薄い唇に口付けると土方の目が驚きに見開かれた。
エスプレッソコーヒーとバニラアイスクリームが溶け合って。

「…アフォガード」

何を言っていいのか分からなかったのだろう、
ちゅくりと音を立てて唇が遠ざかった後、
ぽそっと土方が呟くので銀時は可愛さに笑ってしまった。
「うん、そだね」
本当に可愛いなぁと思ったのが伝わったのか、
土方が銀時を睨んだ。
「黙って食え」
「どっちを?」
にやっと銀時が笑った。

「ドルチェを」

「…じゃあやっぱりこっちだ」

もう一度深く口付ける銀時に土方が
「…ほんとにバカだな、おまえは」
呆れたようにそう零したがその目は優しかった。

 

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