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ラストは沖田と。



「風呂に入れ」
土方は眦を吊り上げて厳命した。
殺した他人の血を被った沖田は高価なべステッドスーツを台無しにし、
頬にまで飛んだ血を拭おうともしなかった。
服を駄目にしたことは叱られなかったが、
血だらけで歩き回って部下を怖がらせて遊んだことは土方を怒らせた。
沖田をタイルの上に立たせ、
腕まくりした白いシャツと、やはり裾を上げた黒いパンツ姿の土方は、
シャワーを手のひらに当てて温度を確かめている。
ボイラーの調子がどうのと言ってたっけ。
自分なら水のままぶっかけてやるのに、
と他者に対する思いやりなどというものは息を吸う前に捨てた沖田は思うが口には出さない。
湯気で浴室が温まりだした頃、土方が沖田に命じる。
「脱げ」
「へーい」
どうせもう駄目だろう、
血がもっとも落ちにくいのだ。
ぞんざいに脱ぎ捨てても土方は気にしない。
ガキの頃からの付き合いで、今更目の前で裸になることに躊躇は無い。
「目、閉じとけよ」
「はい」
温かい湯がゆっくりと沖田にかけられていく。
頬の辺りの血を土方の長い指がそっと拭った。
「冷えただろ、なか入れ」
猫足のバスタブに放り込まれる形になった沖田は
「髪洗ってくだせィ」
縁から首だけ出して見あげてねだる。
溜め息を吐かれるかと思ったが、
土方はあっさりと浴室の光に反射して輝く沖田の髪を丁寧に濡らし、
気取った模様のボトルを手にとって泡立てだす。

「目閉じとけよ」
「はい」
別にガキじゃないんだからそんな何度も言われなくても、
と思うがまぁ今のコレがガキじゃないかと言われたら言い返せない気もするので大人しく従う。

「あ、土方さん、そこかゆい」
「美容師か俺は…」
呆れたような口調で、結局土方は丁寧に洗ってくれるのだ。
この距離なら簡単に、唇を掠めることも可能だ、
と思うが実行に移したりはしない。
「俺もザキみてェな奴隷がいりゃあ髪自分で洗わなくていいのに」
「女に洗ってもらえ。つーか、んだそれは。俺はアイツに髪洗わせたことなんざ…」
「無いこたねェでしょうが」
「……」

土方限定で器用さを存分に行使する山崎は洗髪も散髪もお手の物だ。

「…お前髪やわらかいな……」
「内面と同じでデリケートなんで」
「………流すから口閉じろ」
「目でしょ」
容赦なく湯がかけられて沖田は笑った。

しかし、まぁ。
湯気で透けたシャツが無駄にエロイ。
首筋に流れ落ちた水滴がゆっくりシャツの布地に吸い込まれるのを眺めて。
沖田はゆっくりと半身を起こす。
おしまいとばかりに湯を止めて立ち上がり、出て行こうとする土方の手首を掴んで強引に湯船に引きずり込んだ。
「ちょ、おい!!」
ばしゃんと激しい水音がして、バスタブの湯が逃げたが二人分の体積があれば十分。

「俺ぁ服着たまま入る趣味はねェ」
「じゃ裸ならいいんで?」
「この狭い風呂にお前と二人ってのもぞっとしねぇな」

旦那と入ってたくせに。

「今出てかれると湯が足りねェんですが」
「……わかったよ」

呆れたように土方は言い、
張り付いたシャツを無造作に脱ぎタイルに落とす。

その無駄に白く滑らかな肌を見つめながら、
沖田は無意味に薄ら笑った。

 

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