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当サイトにいらしてくださる皆様、コメントくださった皆様、
昨年はお世話になりました。
土方さん萌えのままにまた走りますので、
今年も一年、どうぞよろしくお願いします。

以下短いですが、年末年始用の小話です。



「今年も終わりか」
銀時が静かにつぶやいた。

年越しということで、新八に誘われて皆で鍋をして、
神楽はお妙の家で何やら騒がしく過ごしているようだ。
年の瀬に一人きりじゃないっていうのは悪くない。
特に神楽は人恋しい年頃だろう。
俺も湿っぽいのは好きじゃない。

で、俺はなぜわざわざ万事屋に帰っているかって?
戸惑う気配すら伝わってくるのに苦笑する。

しんしんとした夜にあいつは溶け込むようにここに来る。
戸を開けるといつもと同じくらい綺麗な土方の顔がある。

「おかえり」
俺の言葉に土方はほんの少し目を見開いてそれから、
その戸惑いを上手に隠した、
つもりでその綺麗な目を少し揺らして俺を揺さぶる。

「…ただいま」

それでもゆっくり、土方が玄関に上がった。

待ちきれない俺は土方に先に鎖を掛ける。

「…朝になったら初詣行かねェ?」

この先も、俺はお前と過ごすつもりなんだ。
そんな顔したって、逃がしてやらねェぜ。


 





年末年始の警備のための人員配置が完了し、土方は一息ついた。

「…お出かけなら車を」
目ざとい部下に声を掛けられて首を振った。

待ち合わせの場所までのひやりと冷たい道を歩きながら、
このまま、夜が永遠に続けば良いのにと、ふと思う。
人影はまばらがだが、皆それぞれに何か考えている顔をしていて。

見慣れた玄関の前、手を掛けるとき、
必ずある種の感慨が過る。

気配を察したのだろう男が戸をあけ、
俺を中に招く。

「おかえり」

俺は一瞬言葉に詰まって、それから返す。

「…ただいま」

するりと夜の闇を連れたままで男の住居に入るが、
まだ俺は先ほどの続きを考えている。

「…朝になったら初詣行かねェ?」
見透かしたようなタイミングで銀髪の男が俺の指先を手に取った。
ときどき怖いと思うのは、俺の中の臆病さの故だろうか。

それでも、朝の訪れを知らぬままに過ごすには、
もはや幸福が過ぎるのだろう。

俺は静かに頷いた。

 

 

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