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松平パパと土方さんのあれこれ。
たわいない話です。 銀さんの「やくざの女に手を出して・・・」 という台詞から。 松土実は好きです。 ええ。 でもやっぱり銀土です、すいません。 酔った勢いの事故だった。 そう結論付ける。 土方はよろよろと服を着込むとまるで幽鬼でも見ているかのような銀時をちらと見た。 …男も抱けるのか。 初めての自分と違い、 随分手馴れていたように思う。 とはいえこちらは痛くて死んでしまいそうだったが。 銀時の視線が泳ぎ、ある一点を見て顔を僅かに曇らせた。 ほんの一瞬だったが、時計を気にしていることに気付く。 客か、もしくは女でも来るのか。 土方は冷えた思考で考えると壊れそうな身体を無理やり動かす。 ほとんど意地とプライドだけで服を整え、何でもないような顔を作った。 「…邪魔したな」 忘れよう、それが互いのためだと言う様に、呆然としている銀時を残し、 土方はまだ暗い外へ出て行った。 ああ、どうしてこんなに痛いのだろう。 松平は車を止めさせた。 「おい」 滅多に見ない美貌の持ち主を見紛うわけも無い。 土方は白い紙のような肌色で僅かに視線を逸らした。 「朝帰りか色男」 「…アンタと一緒にすんな」 「乗ってけ、送ってやる」 土方は躊躇った。 出来れば、一刻も早くこの場を立ち去りたいくらいなのだ。 だが怪しまれるかもしれない、 その僅かな躊躇いを見て取ったのか、 松平が乱暴にドアを開き、 強い力で土方を車に押し込んだ。 「…ってェな…加減してくれよ…」 呆れたように、悲鳴をあげかけた身体の痛みをごまかして土方は悪態をつく。 「のろのろしてっからだ」 軽く笑うと松平は運転手に言いつけて室温を上げさせる。 「風邪ひくぞ」 「…悪ィ、その、」 「近藤のアホが潰れたんでよぅ、お前んとこの若ェのに迎えに来させた。ったくアイツは いつになったら女に慣れるんだ」 「…あんまり飲みすぎんなよ」 いつものように軽く言うと土方は溜息を吐く。 「お前もたまには付き合え。おじさんの言うことは聞いとくもんだぞ」 「アンタと近藤さん二人じゃ、俺が介抱すんのが目に見えてるだろーが。大体俺はキャバクラは好きじゃねェ」 「ったく、おめーは女にモテっからって余裕こいてねェでよ、 おじさん見習ってもっとガツガツしねェとな」 はは、と土方が呆れたように笑う。 「屯所で良いだろ」 松平の言葉に頷くと、突然運転手に告げる。 「おい、ちょっとそこでコーヒー買って来い」 24時間営業のコーヒーショップの駐車場に車を停め、 出て行った運転手を見送る。 「アンタ、あんまりこきつかってると嫌われるぜ…」 土方がまた疲れたように零すが、 松平は笑ったままだ。 「誰にやられた」 瞬間、びくりと土方の肩が揺れた。 松平は静かに、威圧するような声色で続ける。 「俺に隠せると思ったか」 静かな車内に重苦しい沈黙が満ちた。 だが、勿論言うわけにはいかなかった。 男が男にヤラれました、などと誰に言えるものか。 土方は黙ったまま、 どうこの場を切り抜けようか、痛む頭を叱咤したが、 松平が低く息を吐く度に思考が揺れる。 「答えねェなら、俺は今からお前を医者んとこ連れてくぞ。ヤベェ相手なら、やることがいくつかある」 きり、と赤い唇を噛んだ土方の稚気に松平は少しだけ空気を緩める。 それから、そっとその肩を抱くと告げた。 「…言えないか」 土方は沈黙した。 頑固な男で、こうなっては絶対に口を割らないだろうことは判っている。 「…わかった。大人しく医者に行くな?」 片手で、松平は土方の身体を抱き寄せ、胸に顔を埋めさせる。 空いた手で一度だけその艶やかな髪を撫で、 わずかに情交の匂いのする首筋を見て小さな子どもにするようにぽんぽんとその背をたたく。 しばらくそうしていたが、むずかるように首を振った土方を そっと解放する。 俯く土方の白い首筋、一瞬覗く鎖骨にまで散りばめられていた鬱血痕を目に入れ、 松平はしばし思案する。 戻った運転手から受け取ったコーヒーを土方に与えれば、 指先で包み込むように持ったままぼんやりしている。 冷えた指を温める権利は自分には残念ながら無い。 無機物にその大事な役目を与え、 わざと時間をかけて戻ってきたと思しき、 よくできた運転手にミラー越しに目配せした。 車がゆっくりと走り出す。 いつか起こるかもしれない、 そう最も恐れていたことだが、不幸中のなんとやらか幕府関係者ではない。 場所が場所だ。 おそらくまだ若い男。 一人。 極めて普通の行為。 油断する相手。 酒が入っているが薬の類ではない。 とすれば かなり、腕の立つ男だろう。 庇う価値のある男か、 意味のある男か。 だがこの問いにはあまり意味が無い。 土方自身のプライドの問題もあるからだ。 結局、屯所に送り届け、 その日は終わった。 翌日無茶苦茶な理屈をつけて、 忙しいと後回しにしていた『健康診断』を受けさせ、 検査所を脅すようにして出させた結果は「シロ」。 潜伏期間の問題も考え、 二ヵ月後に再検査をさせることにしたが、まぁおそらくクリアだろうと松平は思った。 腕利きの監察が松平に呼び出されたのは3日後。 つぶれた近藤を寝かせたまま、松平は山崎を目だけで呼びつける。 「……何か御用ですか」 聡い監察は近藤の世話を若い隊士に任せ、 静かに近づくと告げる。 「一昨日はテメェなにしてた」 「仕事です」 にっこりと笑うと山崎は言う。 隠密行動の説明などする必要は無い。 「昨日今日は」 「今まさに『出張』帰りです」 さらに胡散臭い微笑で続けた山崎に松平が、並の男なら震える声で告げた。 「なるほど、じゃあオメェはまだトシに逢ってねェわけか。肝心なときに役に立たねェな。腹切れ」 傍若無人を体現したような台詞にも山崎は動じない。 『トシ』というキーワードのほうが何万倍も重要事項。 「誰に『やられたか』調べて来い」 「………」 「役に立たねェ狗ならその首輪、首ごと斬っちまえ」 空気が怒気を孕んで紅く燃え上がるようだった。 「…即刻」 自分自身に怒り狂っている声で、山崎は絞り出すようにそれだけ言った。 PR |
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